福島県 郷土食

福島県

福島県は、全国で3番目に広い面積をもち、南北へつながる阿武隈(あぶくま)高原と奥羽(おうう)山脈によって、中通り(なかどうり)・会津(あいず)・浜通り (はまどうり)の気候・風土の違う3つの地方に分けられます。きゅうり・トマト・さやいんげん・ブロッコリー等の野菜、美味しいお米、「くだもの大国」と言われるように桃・りんご・梨などの生産量が多く山菜も豊富である。黒潮と親潮がぶつかり合う潮目になってよい漁場に恵まれているため、秋刀魚・たこ・ひらめなどたくさんの魚介類が水揚げされます。また鯉の生産量全国1位です。山の幸・海の幸そして温泉に恵まれた県です。

地図

くじら汁(くじらじる)

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 103kcal
たんぱく質 5.4g
脂質 3.4g
カルシウム 53mg
1.1mg
ビタミンA 167μgRE
ビタミンB1 0.08mg
ビタミンB2 0.04mg
ビタミンC 14mg
食物繊維 2.2g
食塩 1.2g
マグネシウム 23mg
亜鉛 0.4mg

由来

ここ会津(あいづ)地方において、くじら汁は、新じゃが芋や新玉ねぎが収穫される初夏から食べられ、塩くじら(くじらの本皮の塩漬け)と夏野菜を一緒にみそ汁にし、夏の厳しい暑さを乗り切るスタミナ食として普段の食事の中に取り入れられてき ました。このくじら汁は、会津の中でも阿賀川(あかがわ)沿いの地域きで食べられています。それは、保存の利く塩くじらが、北海道から新潟に運ばれ、阿賀川を経由して広まったという地理的条件が大きく影響しているからで す。また、幾重(いくえ)の山々に取り囲まれた会津地方で、海産物の入手が非常に困難であった時代に、保存性の高い塩くじらを活用することを思い立ったことは、この土地ならではの工夫です。

材料・分量

1 塩くじら(短冊1cm×3cm×0.2cm) 5g
2 じゃがいも(1.5cm のいちょう切り) 30g
3 たまねぎ(1cm 薄切り) 30g
4 さやいんげん (筋を取り3cm に切る) 10g
5 にんじん(0.5cm いちょう切り) 10g
6 こんにゃく(短冊切り) 15g
7 しょうが(根茎)(皮をむく) 0.5g
8 煮干し 1g
9 かつお中厚削り節 1.5g
10 赤みそ 10g
11 150g

下ごしらえ・作り方

下ごしらえ

  • ・塩くじらはゆでこぼし、余分な塩・脂(あぶら)をとる。
  • ・いんげんはゆでておき、青みにする。
  • ・こんにゃくはあく抜きする。
  • ・しょうがはすりおろして、汁をとっておく。

作り方

  • 煮干しとかつお節でだしをとる。
  • なべに1のだし汁を入れ、にんじん・じゃがいも・こんにゃく・たまねぎを煮る。
  • 塩くじらを加え、材料がやわらかくなったら、赤みそ・しょうが汁で味をととのえる。
  • 青みに、いんげんをいれる。

子どもたちが作るための手順

※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
⑧⑨⑪だし汁→⑤にんじん②じゃがいも⑥こんにゃく③たまねぎ→①塩くじら→⑩赤みそ⑦しょうが→④さやいんげん

給食献立例

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)


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エネルギー 637kcal
たんぱく質 23.7g
脂質 15.4g
カルシウム 348mg
2.6mg
ビタミンA 406μgRE
ビタミンB1 0.67mg
ビタミンB2 0.50mg
ビタミンC 40mg
食物繊維 4.4g
食塩 3.3g
マグネシウム 85mg
亜鉛 2.7mg

献立例

  • ・ゆかりごはん
  • ・牛乳
  • ・笹かま磯辺揚げ
  • ・三色おひたし
  • くじら汁
  • ・ミディアムトマト

放送資料

くじら汁は、新じゃがのとれる頃から夏にかけて食べられている会津地方の郷土料理です。くじら汁に使われるのは、くじらの本皮(皮のついた白い脂身)の塩漬けで“塩くじら”と言われています。季節の野菜と塩くじらの独特のだしでとてもおいしいみそ汁になります。
保存の利く塩くじらは、北海道から新潟を経由して阿賀川によって運ばれてきました。そのため、阿賀川沿いの西会津・喜多方・柳津・金山・南会津まで広く食べられています。くじらが、北海道から旅をして、山々に囲まれた会津にたどり着きました。
ビタミン豊富な夏野菜と脂肪・たんぱく質の豊富な塩くじらの取り合わせは、暑い夏を乗り切るスタミナ食として、おじいちゃん・おばあちゃんたちの元気の素になっていました。
保存の利く塩くじらとの出会いが、会津の郷土の味として昔から食べられてきました。給食では、生姜汁を加えて食べやすくしています。味わって食べて下さい。

一口メモ

捕鯨船が入港するのは、北海道の網走・函館・宮城の鮎川・千葉の和田浦・和歌山の太地・山口の下関に限られている。商業捕鯨の盛んな時は、半冷凍の赤身肉のさしみやくじらのベーコン、くじら肉の大和煮や竜田揚げなどが、学校給
食や一般家庭の食卓にものぼっていた。しかし、くじら汁が食べられているのは、北海道をはじめ、新潟、富山と日本海沿いである。近年は、商業捕鯨の禁止とともに、遠ざかりつつある郷土の味である。

参考資料

  • ・「会津の年中行事と食べ物」 平出美穂子著