鹿児島県 郷土食
鹿児島県
鹿児島は温暖な気候に恵まれていますが、県内のほとんど全域をおおうシラス土壌、台風の襲来、桜島の噴火による降灰など特異な自然環境にあります。また、日本列島の南端に位置し、島々も多く、早くから近隣のアジア諸国等との交流も盛んで、異文化の食習慣や食文化に大きな影響を受けてきました。
現在、鹿児島に伝わる郷土料理は、県内各地方で生まれ育まれてきたものや、近隣アジア諸国から伝来し、鹿児島の風土に適するように作り変えられたものなど、多種多様ではありますがいずれも野趣に富んだ独特のものが多いです。
軽羹( かるかん)
1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)
エネルギー | 87kcal |
たんぱく質 | 1.3g |
脂質 | 0.1g |
カルシウム | 3mg |
鉄 | 0.1mg |
ビタミンA | 0μgRE |
ビタミンB1 | 0.02mg |
ビタミンB2 | 0.01mg |
ビタミンC | 1mg |
食物繊維 | 0.2g |
食塩 | 0g |
マグネシウム | 5mg |
亜鉛 | 0.1mg |
由来
鹿児島の代表的な郷土料理「軽羹」は、冠婚葬祭によく使われる贈答菓子の代表格です。 28代島津斉彬公(なりあきらこう)が安政年間(1854~1860年)に江戸から連れ帰った菓子職人、八島六兵衛により創作されたと言われてい ます。材料の時より蒸しあがると軽くなるので、軽い羹という意味で「軽羹」と言われるようになりました。
また、薩摩藩庖丁人頭であった石原伝兵衛が書き記した「御献立留」(おこんだてどめ)という本に、「軽羹」という言葉がでてきており、元禄12年(1699年)20代島津綱貴の50歳の誕生日のお祝いに出されたという記録が残ってい ます。ただ し、現代のかるかんと同じ物であるかは定かではありません。
材料・分量
1 | かるかん粉 | 13g |
2 | 砂糖(上白糖) | 8.5g |
3 | ながいも | 9g |
4 | 穀物酢 | 適量 |
5 | 卵白 | 2.5g |
6 | 水 | 9.5g |
◎かるかん粉は上新粉で代用できる
作り方
- ながいもは厚めに皮をむき、酢水をつくり、つけてあくをぬく。
- 1をすりばちですりおろし、すりこぎでよくする。卵白をよく溶いて入れ、さらによくする。
- 2に水、かるかん粉、砂糖(上白糖)を交互に入れながら、よくすり混ぜる。
- 3を流し箱または湯飲み茶碗に七分目まで入れ、蒸気の上がった蒸し器で25~30分蒸す。
子どもたちが作るための手順
※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
③ながいも→④→⑤→⑥→①→②
給食献立例
1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)
エネルギー | 690kcal |
たんぱく質 | 24.1g |
脂質 | 15.9g |
カルシウム | 399mg |
鉄 | 3.4mg |
ビタミンA | 339μgRE |
ビタミンB1 | 0.36mg |
ビタミンB2 | 0.57mg |
ビタミンC | 27mg |
食物繊維 | 6.0g |
食塩 | 1.5g |
マグネシウム | 104mg |
亜鉛 | 3.1mg |
献立例
- ・もちきびごはん
- ・牛乳
- ・ぶりと桜島大根の煮物
- ・青菜のからしあえ
- ・軽羹
放送資料
かるかんは、もっとも代表的な鹿児島の郷土菓子として、全国に広く知られています。
かるかんは、文明開化で知られる薩摩の名君、島津斉彬公(なりあきらこう)が安政元年に江戸から連れ帰った明石出身の菓子職人、八島(やしま)六兵衛によりつくり出されました。
自然薯(じねんじょ)とよばれる天然の山いもに米の粉とさとう、卵白を加えただけのシンプルなお菓子ですが、山いもの豊かな香りと淡白な甘味が口の中で広がり、しっとりとしたねばりがあるのが特徴です。
かるかんの主な材料である自然薯は、南国鹿児島にとって、肌寒さを覚える秋にとれることから、かるかん作りは秋に最盛期をむかえます。山いも掘りには、とれる場所を人に知られないために一人で出かけることが多く、「きんつっ」という専用の細長い道具を使って掘ります。
一口メモ
鹿児島はかつて、海軍寄港地であった。海軍さんたちにかるかんでもてなしたところ、大いに気に入り、全国に広く知られるきっかけをつくったとされている。
すりおろした山いもや卵白を大きなダンバチ(大きな鉢)ですりこぎをまわしながら、よくこねまぜ、セイロでむして作るかるかんは、火加減やその日の気温の変化、乾燥度合いまでが味に微妙に影響される根気のいる仕事であった。
参考資料
- ・かごしまの味 南日本新聞社編
- ・聞き書鹿児島の食事 農山漁村文化協会
- ・さつま料理歳時記 石神千代乃著
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