岩手県 郷土食

岩手県

岩手県は、本州一広大な面積を持ち豊かな自然に恵まれています。気象条件が変化に富んでいるので農業資源に恵まれ、県内各地では立地条件を生かした多彩な農業が展開されています。
冷涼でなかなか米がとれなかった県北地域では「ひっつみ」などの粉食習慣が多く見られ、暖かで稲作に適した県南では、30種類以上も食べ方があるといわれる餅 (もち)文化が栄えました。
リアス式の陸中海岸は有数の漁場であり、サンマの水揚げ量も多く、わかめやこんぶの養殖も盛んです。岩手は豊かな農畜産物を全国に向けて送り出す、我が国の食料供給基地としての役割を担っています。

地図

ひっつみ(ひっつみ)

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 103kcal
たんぱく質 4.6g
脂質 0.8g
カルシウム 16mg
0.4mg
ビタミンA 77μgRE
ビタミンB1 0.05mg
ビタミンB2 0.06mg
ビタミンC 4mg
食物繊維 1.8g
食塩 1.2g
マグネシウム 17mg
亜鉛 0.5mg

由来

小麦粉を水で耳たぶくらいのやわらかさまでこね、ねかしたものをひっつまんで(ひきちぎっての方言)鍋に入れることから「ひっつみ」の名がつきました。昔は米を節約するために主食として、また農作業中の「小昼 (こびる)」として食べられていました。特に決まった材料はありませんが、にんじん・ごぼう・季節のきのこや野菜などを川魚や川蟹 (かに)・地鶏などからとっただし汁の中に入れてしょうゆ味やみそ味で仕上げます。そのほか「ひっつみ」をゆでてあんこの中に入れたり、きなこをまぶしたり、山でたくさん採れるクルミを使ったたれに入れる食べ方もあります。
土地や家庭によって多様な「ひっつみ」があり、だしの材料も入れる野菜も味付けも、その土地で採れたものを上手に使っています。

材料・分量

1 南部小麦(中力粉) 20g
2 8g
3 鶏もも肉(小間切れ) 10g
4 だいこん(0.3㎝いちょう切り) 20g
5 にんじん(0.3㎝いちょう切り) 5g
6 ごぼう(小さめささがき) 5g
7 根深ねぎ(斜め切り) 5g
8 乾しいたけ(せん切り) 1g
9 だし汁(しいたけのもどし汁+水) 180g
10 こいくちしょうゆ 6g
11 清酒 1g
12 食塩 0.3g

下ごしらえ・作り方

下ごしらえ

  • ・ひっつみの生地を作る。 小麦粉に水をまんべんなく入れ、耳たぶくらいのやわらかさにこね、乾燥しないようにして2時間くらいねかせておく。
  • ・乾しいたけは洗って水でもどす。(もどした水はだし汁として使う。)

作り方

  • だし汁で鶏もも肉、煮えにくい野菜から順に入れて煮る。
  • アクをとり、調味料を入れる。
  • 「ひっつみ」の生地を持ち、手に水をつけながら薄くのばして、食べやすい大きさにちぎって煮立っている汁の中に入れる。ひっつみは煮えると浮き上がってくる。
  • 味をととのえ、最後にねぎを入れる。

子どもたちが作るための手順

※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
⑨だし汁→⑥ごぼう→⑧もどしたしいたけ→④だいこん→⑤にんじん→③とり肉→⑩⑪⑫→①②ひっつみの生地→⑦ねぎ

給食献立例

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)


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エネルギー 611kcal
たんぱく質 26.6g
脂質 11.6g
カルシウム 289mg
1.9mg
ビタミンA 170μgRE
ビタミンB1 0.41mg
ビタミンB2 0.51mg
ビタミンC 25mg
食物繊維 4.6g
食塩 2.8g
マグネシウム 87mg
亜鉛 2.8mg

献立例

  • ・雑穀ごはん
  • ・牛乳
  • ・鮭のごまみそ焼き
  • ・わかめの菊花あえ
  • ひっつみ
  • ・りんご

放送資料

昔から岩手の郷土料理として親しまれているものに「ひっつみ」があります。小麦粉を耳たぶくらいのやわらかさまで水でこね、2時間ほどおいたものをひっつまんで(ひきちぎっての方言)鍋に入れることから「ひっつみ」と名づけられました。材料で決まったものは特にありませんが、季節のきのこ・季節の野菜などを川魚や川蟹、地鶏などからとっただしの中に入れて、しょうゆ味やみそ味で仕上げます。たくさんの材料を使う「ひっつみ」は、赤・黄・緑の食品がすべて入っていて、とても栄養バランスが良いです。その他にも、ひっつみをゆでてあんこの中に入れたり、きなこをまぶしたり、山でたくさん採れるクルミを使ったたれに入れる食べ方もあります。
昔は米を節約するために主食として、また農作業中の小昼として食べられました。
寒さの厳しい風土と戦いながら、作物の収穫や家族の健康を願い受け継がれてきた郷土の味、「ひっつみ」。給食でも人気の高いメニューのひとつです。

一口メモ

昔は凶作などで食糧がひどく不足することがあったことから、米を節約するために1日1食は必ず粉を使った料理を食べていたと言われている。朝は麦飯、あるいは大根かて飯、昼は残りご飯に湯をかけて湯漬けや雑炊にする。そして夜はひっつみや団子を食べたと言われている。

参考資料

  • ・「日本の食生活全集①」 「聞き書岩手の食事」  発行(社)農山漁村文化協会