山口県 郷土食

山口県

本州の最西端に位置する山口県は、三方が海に開かれています。東西に走る中国山地の山々は比較的低く、大きな平野や盆地が少ないため、棚田を利用した米作りや温暖な気候を生かしたみかん栽培などが行われてきました。アジア大陸に近い山口県では早くから稲作技術が伝わり、江戸時代には、米・塩・紙を「防長三白 (ぼうちょうさんぱく)」と呼び生産が奨励されました。また、入りくんだ長い海岸線には多くの漁港があり、古くから漁業が盛んで北浦捕鯨も栄えていました。日本海側では沖合漁業、瀬戸内海側では沿岸漁業や養殖などが行われ、特に下関のふぐは全国的にも有名です。

地図

鯨の南蛮煮(くじらのなんばんに)

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)

エネルギー 130kcal
たんぱく質 11.3g
脂質 4.0g
カルシウム 59mg
1.5mg
ビタミンA 232μgRE
ビタミンB1 0.09mg
ビタミンB2 0.09mg
ビタミンC 2mg
食物繊維 2.7g
食塩 0.7g
マグネシウム 24mg
亜鉛 0.4mg

由来

長門市の通 (かよい)地区は、江戸時代に捕鯨集団である「鯨組」が創業され栄えた町です。延宝元年(1673年)から明治41年(1908年)まで、235年にわたって網捕り捕鯨が続けられてき ました。
鯨は人々の貴重なたんぱく源として大きな役割を果たしていました。また、鯨肉だけでなく、「鯨一頭捕れば七浦にぎわう」といわれたほど、鯨油、ひげ、骨粉まで余すところなく利用され人々の生活を支えていました。
長門市では、今では捕鯨は行われていませんが、大晦日や節分などの行事に鯨を食べたり、お祭りなどのごちそうとして鯨料理を食べたりする風習があります。赤身だけでなく、いろいろな部位を使った鯨食文化が残っており、南蛮煮もその中のひとつです。

材料・分量

1 鯨肉(赤身)(2cm 角切り) 40g
2 ごぼう(乱切り) 15g
3 こんにゃく(1.5cm 角切り) 15g
4 にんじん(乱切り) 15g
5 しょうが(せん切り) 3g
6 米みそ 12g
7 砂糖(上白糖) 3g
8 サラダ油 1g
9 こんぶ 1g
10 かつお節 1g
11 50g
12 白いりごま 2.5g
13 七味唐辛子 少々

下ごしらえ・作り方

下ごしらえ

  • ・こんぶとかつお節と水でだしをとっておく。
  • ・ごぼうは酢を少し入れた水につける。
  • ・こんにゃくはゆでる。

作り方

  • なべにサラダ油を熱し、しょうがと鯨肉を炒めて一度皿に取り出す。
  • 次にごぼう・こんにゃく・にんじんを入れて炒め、だし汁を入れて煮る。
  • 1を加え米みそ・砂糖をいれ、弱火で煮込む。
  • ごま・七味唐辛子を加えて混ぜ合わせる。

*米みそは、砕け米で作った自家製(手前みそ)を利用していた。

子どもたちが作るための手順

※材料を使う順番にじゅんびしておきましょう
⑨⑩⑪だし汁→⑧サラダ油→⑤しょうが→①鯨肉→②ごぼう→③こんにゃく→④にんじん→⑥米みそ→⑦砂糖→⑫白ゴマ→⑬七味唐辛子

給食献立例

1人当たりの栄養量 (小学校3、4年生)


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エネルギー 604kcal
たんぱく質 26.2g
脂質 14.0g
カルシウム 322mg
2.6mg
ビタミンA 348μgRE
ビタミンB1 0.59mg
ビタミンB2 0.51mg
ビタミンC 16mg
食物繊維 5.2g
食塩 1.8g
マグネシウム 74mg
亜鉛 2.8mg

献立例

  • ・麦ごはん
  • ・牛乳
  • 鯨の南蛮煮
  • ・かぶなます
  • ・かきたま汁

放送資料

山口県の北浦沿岸では、古くから捕鯨が行われてきました。特に通の浦では、江戸時代から明治時代まで200年あまりにわたって、「鯨組」という集団捕鯨が行われ、とても栄えていました。
長門市には、さまざまな鯨の料理方法が伝わっています。
今日は、鯨と野菜をみそで煮込んだ「南蛮煮」にしました。昔ながらの通の「鯨の南蛮煮」には、他の地域とは違うところがありました。それは、鯨の赤身の肉だけでなく、皮の部分も入れるところです。捕鯨で栄えた町だからこそ、いろいろな部分を料理に使う知恵が生まれたのでしょう。

一口メモ

古式捕鯨で栄えた通地区には、今でも町のいたる所に鯨文化が残っている。鯨の胎児をまつった「鯨墓」、鯨の「位牌」、また人間と同様に「戒名」も存在する。捕鯨が人々の暮らしを潤していたことへの感謝の念の現れであろう。
食文化としても、肉、皮、内臓に至るまで、様々な料理方法で余すところなく食べられてきた。

参考資料